公   示

公 示 第 1 9 号


一般乗用旅客自動車運送事業の特別監視地域の指定の要件等について

 平成14年2月の改正道路運送法の施行に伴い、一般乗用旅客自動車運送事業へ
の参入については、需給調整規制を前提とする免許制から資格要件をチェックする
許可制に移行することになった。
 一方、一般乗用旅客自動車運送事業においては、著しい供給過剰となり、輸送の
安全及び旅客の利便を確保することが困難なおそれがある場合の非常手段として、
新規参入や増車を停止する緊急調整措置を設けることとした。
 しかしながら、緊急調整措置は極めて権利制限性の強い規制であることから、こ
のような自体を可能な限り抑止するためのいわば予防措置が必要であり、このため、
別途、監査や行政処分の運用上の制度としての特別監視地域の指定制度を設けるこ
ととし、その要件を下記のとおり定めたので公示する。

  平成14年7月1日


                      北陸信越運輸局長 武藤秀一

                 記

1 特別監視地域の指定について

(1)指定する地域
   営業区域(「一般乗用旅客自動車運送事業(1人1車制個人タクシーを除く。)
  の申請に対する審査基準について(平成14年7月1日付け公示第12号)」1
  (1)@に規定する区域。以下同じ。)単位とし、指定した場合は公示を行う。

(2)指定要件
  @ 実車率及び日車営収のいずれもが、前年度と比較して減少した結果、前5年
   間の当該地域の平均値を10%以上下回っている(平成9〜12年度の全国平
   均を20%以上下回っている場合を含む。)場合。
    ただし、車庫待ち、駅待ち等以外の流し営業の比率が著しく少ない地域にお
   ける実車率の基準は、次に定めるところによる。
  (イ)「車庫待ち、駅待ち等以外の流し営業の比率が著しく少ない地域」とは、
     流し営業比率が5%を下回る地域とし、具体的には、人口10万人以上の
     都市を含まない営業区域を当該地域とみなすものとする。ただし、それ以
     外の営業区域で該当する区域があると合理的な理由を付して事業者団体等
     から申し出があった場合には、実態調査をした上で判断するものとする。
  (ロ)(イ)の地域の実車率の基準は10%を2%とする。
  (ハ)(イ)の判断は特別監視地域の指定と併せて行うものとする。
  A 前年度と比較して供給輸送力が急激に増加した結果、@の要件を満たすこと
   が確実とみられる場合。
    「供給輸送力が急激に増加した」とは、
    前年度末の車両数×実車率(または日車営収)
     前年度末の車両数  +  増加車両数   で計算した実車率及び日車
   営収の数値が、現時点で@の指定要件を満たすように新規参入又は増車が行わ
   れた場合をいい、「@の要件を満たすことが確実とみられる場合」とは、輸送
   人員の増減の状況、減車の状況等を調査した結果、想定される実車率、日車営
   収等の数値が@の要件を満たす場合をいう。

(3)指定する時期
   原則として、毎年9月1日とする。((2)@の指定要件に該当することが明
  らかになった場合にこれより前に指定することができることとする。)ただし、
  (2)Aにより指定を行う場合は、この限りでない。

(4)指定する期間
   原則として、指定の翌年の8月31日までの間とする。
   ただし、(2)Aにより指定した場合には、原則として、当該指定を行ってか
  ら1年を経過した後直近の8月31日までとする。
   なお、指定を継続するか否かは、指標のいずれもが指定時の数値より改善して
  いるかどうか(ただし、実車率及び日車営収が平成9〜12年度の全国平均を2
  0%以上下回ったため指定された地域の実車率及び日車営収の指標については、
  20%よりも数値が改善しているかどうか)を踏まえて判断するものとする。

2 指定に伴う措置
  特別監視地域においては、重点的な監査を実施することとし、特に事故や違反・
 利用者からの苦情の多い事業者、新規事業者、増車実施事業者については重点的に
 監査を実施するとともに、行政処分及び点数制による点数の付加について、以下の
 点を勘案し、厳格に運用することとする。
  なお、これらの措置の詳細については、別途定めるものとする。
 @ 以下の違反行為があった場合には、行政処分及び点数制による点数の付加につ
  いて通常時よりも厳しく取り扱う。
  (イ)最高速度違反、過労運転等による事故を引き起こした場合の指導監督義務
    違反。
  (ロ)(イ)に掲げる事故を引き起こす可能性の高い安全関係法令(乗務時間、
    最高常務距離、ノルマの強制禁止、運行記録計設置・記録義務等)違反。
  (ハ)運送引受の拒絶。
 A @について故意若しくは重大な過失があった場合、又は特別監視地域指定後に
  新規許可又は営業区域拡大の許可を受け又は増車を行った事業者については、行
  政処分及び点数制による点数の付加についてさらに厳しく取り扱う。
 B 違反に故意若しくは重大な過失がなく、かつ、特別監視地域指定後に自主的に
  当該事業者の当該営業区域内の営業所に配置する車両総数の5%以上(1台に満
  たない場合は、1台に切り上げる。)減車を行った事業者(Aに該当する事業者
  を除く。)については行政処分及び点数制の取扱いについて考慮する。


附 則

 1.本公示の施行に伴い、特別監視地域を1(1)@により指定するものとし、指
  定する期間は原則として平成14年8月31日までとする。
 2.「一般乗用旅客自動車運送事業の特別監視地域の指定の要件等について」(平
  成14年1月18日付け公示第97号)は、平成14年6月30日限りで廃止す
  る。